アニメ2期

※この記事は大部分が主観によって構成されている事をご留意頂きたい。

 

アニメ「吸血鬼すぐ死ぬ2」は、悪い意味で1期と比べ物にならない内容だったと言わざるを得ない。

主役二人の存在感があまりにも薄い上、「何故ここでこの回?」「何故そのセリフ(シーン)をカットした?」「何故そこに余計な演出を追加した?」と思う場面が頻繁に出てくるのだ。

まず第1話の時点で

・キャラ達が不可解な動きで踊る、本編と全く空気感の違うOP

・OPを歌うのはドラルク役の声優なのに、映像で歌っているのはロナルド

ギャグだとしても完全に滑っている。
・1期最終話の「バカ五番勝負」からの「ドラルク・ともだち・ひとりだち未遂」

ラルクが家出をするこの回は原作第19話、五番勝負は第113話なので大きく飛んでいる。

家族のような関係性になった二人を描いた後で、些細な事で家出する回を入れるのはスムーズな流れには見えない。

 

・「ドラルク・ザ・サイレントジャマー」

ロナルドが歌う「わかってた」の歌詞「ページ」がそのまま

1期1話では原作で「3コマ前」と言っている部分を「3カット前」に修正していた。


・本編のセリフをそのまま引用した嘘予告感の無い予告
1期の次回予告は原作の嘘予告(本編のギャグとは打って変わってシリアスな雰囲気のフィクション次巻予告)を忠実に再現したものだった。

しかし2期1話のそれは、ミカヅキが技名を叫んだ時にショーカが突っ込みを入れるセリフがそのまま使われている。

 

と、違和感の連続だった。

 

他にも

・第2話「フロム トーキョー トゥ ネオ ベイサイド」

ミカヅキが理不尽に何もしていない吸血鬼三兄弟(野球拳、ビキニ、下半身透明)を退治しようとする。

原作では三兄弟の方からミカヅキに絡んでいた。

 

・第3話「Lovecall of Sanzu」

ロナルドがサンズとの合体を想像する場面で、原作では登場しないクリーチャーが描かれテンポが損なわれる。

 

・比較的重い内容の「グッドマザー・グッドバイサマー」が第4話と早い段階で入れられる

原作第144話。

拐われたドラルクをロナルドが連れ戻しに行くという、バディとしての絆がより深まった事が分かる重要な回だが、尺の都合でダイジェスト版のようになってしまっていた。

ミラの名前と職業についての説明、迎えに行った時の「レンタカーで来たの!?」というセリフ、原作のオチである七五三の下りもカットされている。

原作未読者は詳細が分からないまま置いてけぼりで、ミラの存在も印象に残らない。

1話分の尺を全てこの回に費やすのが適切だったのではないだろうか。

また、子供ドラルクの声優はジョン役の声優(キックボードのガキ、留守番電話のアナウンス等モブ役も多く担当している)が兼ねている。

仮にも主役なのにモブ声で済ませてしまうのは、扱いが雑過ぎやしないだろうか。

ラルク役の福山氏(少年声も出せる)がそのまま担当するか、第10話「リトル・リトル・協奏曲」の子供ロナルドのように別の声優を当てて欲しいものだ。

 

・第5話「次は終点裏新横浜」

ロナルドが突如現れたフクマに拐われる場面で終わる。

これには「原稿の締切り日」という理由があり、原作では裏新横浜がオータム書店の缶詰め場所として利用される事になったというオチが描かれるが、それらは全てカット。

ここでも原作未読者は置いてけぼりだ。

 

と、枚挙にいとまが無い。

 

【脚本交代】

2期のスタッフは1期の主要メンバーが続投となっていたはずが、構成・脚本の菅原雪絵氏が突然降板。

公式からのアナウンスは一切無かった。

2期脚本は1期放送開始時点で既に完成していた。

 

制作裏話。

 

このツイートを最後に、一切吸死の話題に触れていない。

 

仕事でトラブルがあった模様。

吸死の事かは不明だが、時期的には怪しい。

 

新たに脚本・構成として加わったのは鷹目利氏。

菅原氏が「仕事の予定が飛んだ」とツイートした翌日に正式発表された2期放送予定の記事には、この鷹目氏がクレジットされている。

https://natalie.mu/comic/news/488786

 

経歴が一切不明で、製作陣のインタビューや動画配信、後述するスタッフ本にも一切参加していない謎の人物だが、日本脚本家連盟には登録されている。

出典

https://www.writersguild.or.jp

1期は流れとしては少々強引な部分もあったものの、全体的に綺麗にまとまったと言える仕上がりになっていた。

2期はまるでバラバラのパッチワークのよう、というのが率直な感想である。

脚本家としてまだ経験が浅いのかもしれない。

いくら1話完結のギャグ漫画とはいえ話の流れを無視しては成立しない、という事を理解して今後の仕事に望んで頂きたいものだ。

 

しかし、脚本家連盟への入会資格は「公表された脚本が2本以上ある方」

加入したのが2022年11月とすれば、吸死以外に担当した作品の情報が全く出てこないのはおかしい。

他の関係者・スタッフの別名義である可能性も高いだろう。

 

【公式サイドの推しCPごり押し】

2期は話の流れが不自然な事に加え、関係者の推しCP要素を含んだキャラがやたらと押し込まれていた。

過去記事で書いた通り

盆ノ木氏:官ナギ(カンタロウ×ナギリ)

ねこゆき(鯵坂義幸)氏:ドラヒナ(ドラルク×ヒナイチ)、拳コユ(野球拳×コユキ)

なのは言わずもがなだが、監督の神志那弘志氏にも推しCP(便宜上こう呼ぶ)がいる。

半ロナ(半田×ロナルド)、サテマナ(サテツ×マナー違反)だ。

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第4話で登場する吸血鬼対策課の半田桃が好きです。

ロナルドとはある因縁があるのですが、ロナルドへのこじれた愛がにじみ出ていて、その感じがすごく気に入っています(笑)。

キャストの松岡禎丞さんの声が入ることで、その愛がさらにパワーアップしているので、原作ファンもご期待ください。

月刊ニュータイプ2021年11月号より引用-----------

 

半田にとってはロナルドはライバルなんでしょうが、彼のことが好きだってことに気づいていないのが可愛いですよね。

ひと言で言うなら「悪友」でしょうか。

月刊アニメディア2022年3月号より引用-----------

同誌にて主役コンビについても言及している(以下引用)。

ラルクはワガママお坊ちゃまですから、相手がロナルドだったからこそ一緒に暮らせています。

ロナルド自身はドラルクが来たことによっていろんな面倒を抱えつつも日々がより充実しているんです。

お互い無いものを補える「夫婦」のような関係性でしょうか。

 

2期についてのインタビュー(抜粋)-------------------------

2期は1期からの地続きのつもりで作っています。

テーマとしてはお祭り騒ぎです。とにかく賑やかにたくさんのキャラがバカ騒ぎできるかです。

ロナルドとドラルクは1期では一緒にいる事が多かったんですけど、2期ではドラルクがほとんど喋らない回もあります。

画面には居ても話さなかったりリアクションだけだったり。

それだけ新横に馴染んで、いい意味で落ち着いたという事ですね。

月刊アニメディア2023年2月号より引用-----------------------------

 

2期では各キャラクターを掘り下げるエピソードも多くて、ドラルクの出番がない話や、出てもほんのひと言ふた言っていうことがあるんです。

ラルクの立ち位置がそうなってしまっていて。

いつもはそういうキャラではないけれど、周りでドタバタやっているのを、ちょっと引いて後ろから見守っているお母さん的なポジションにいる時が結構あります。

月刊アニメージュ2023年3月号より引用-----------------------------

(情報提供ありがとうございました)

 

原作36話相当の中で、

カンタロウ&ナギリ回が2回、ヒナイチ登場が9回、野球拳&コユキ回が2回。

主役コンビが別行動する回、主役コンビ未登場の回(一部上記と被る)が、それぞれ6回。

どちらも全体の1/3を占めている。

主役コンビが中心の1期に対し、2期ではサブキャラの出番を増やす、という手法は理解できる。

しかし、これだけ主役コンビに人気が集中している、かつ1クールしかない作品で、サブキャラ中心に偏り過ぎた感は否めない。

1期の頃からの盆ノ木氏のアニメ制作側に対する発言力、ねこゆき氏への忖度ぶり、神志那氏の他作品での不評ぶり(原作改悪等)を鑑みると「お祭り騒ぎ」を建前に同人誌感覚で好き放題やっただけのように見えてしまう。

(菅原氏はその好き放題をどうにか調整しようとした結果、原作サイドあるいは監督からの不評を買って降ろされたのではという憶測すら浮かんでくる)

 

本当にたくさんのキャラを出したいなら半田白、ヒマリ、へんな一家(初登場回)など出すべき未登場キャラは他にも居る。

官ナギ回、拳コユ回を2回ずつ入れている場合ではない。

 

ラルクの出番の少なさもおかしい。一番のメインキャラであるはずなのに、もはやタイトル詐欺に近い。

あれだけ違和感を覚えるシーンが多いにもかかわらず官ナギ回、拳コユ回は特に問題の無い仕上がりだったのも腑に落ちない点だ。

個人的には第4話Aパートに拳コユ回「お店番と不審者」を捩じ込まれたせいで「グッドマザー」を台無しにされた事が非常に腹立たしい。

 

そもそもこの作品は盆ノ木氏曰く「退治人と吸血鬼のバディもの」がコンセプトだ。

以下動画の43:16に説明がある。

www.youtube.com

その点を無視してオールキャラバカ騒ぎにばかり力を入れれば、破綻して当然だ。

 

ノースディン登場回「常世の街は氷笑卿とワルツを踊る」温泉回「新横浜の楽しいバカ野郎たち」を入れたのは、多少なりともねこゆき氏への忖度が含まれているだろう。


出典

https://www.pixiv.net/artworks/70774727

そもそも原作の温泉回自体が、上記R18同人誌を出す為のネタとしてリクエストされたものだったと思われる。

(原作第100話。本誌掲載:2017年8月24日)

 

 

 

 

これがごり押しでなければ何なのだろう。

1巻発表の時点で嫌な予感はしていたが、ここまで堂々とやるとは誰が予想しただろうか。

関係者の推しCPについて知らないファンの間でも「何故この組み合わせ?」という疑問の声が上がっていた。

 

ジャケットがこうなった一方で、特典は主役コンビで固められている。

決して需要が把握できていない訳ではないのだろう。

(半田にしろヒナイチにしろ、本当にジャケットのメインキャラに程の人気があるなら特典グッズにならないのはおかしい)

 

案の定売れ行きが芳しくなかったのか、今後は監督を降りると受け取れるような発言をしている。

 

【追記】

5chにオリコンが計測した初動と累計の枚数が投稿されていた。

1期と2期でかなりの差がある事が分かる。

(情報提供ありがとうございました)

2期1巻の枚数がやや多めなのは、Amazonで予約トラブルが起こっていた事が関係しているだろう。

 

【設定原画集】

 

設定原画集の裏表紙にはヒナイチがいる。

(画像提供ありがとうございました)

予約時点では公開しない辺り、こっそりと紛れこませてきたようにしか思えない。

予約開始日がヒナイチの誕生日である事も、これまでの忖度からして偶然ではないだろう。

 

この設定原画集内の主要スタッフ6名へのインタビューで「推しキャラは?」という質問に対し、ドラルクを挙げた者は誰も居ない。

(一人だけ「事務所組」という回答はあったが、おそらく床下に寄生するヒナイチも含まれているだろう)

スタッフからの人気の無さが、異常なまでの出番の少なさに繋がったのではないだろうか。

 

【監督の謎解釈と失言】

神志那氏がスタッフ本に「ドラルクがロナルドに料理を作らせている場面」のイラストを描きおろした。

分かりきった事だが、ドラルクは人間の食物は牛乳以外口にしない。

何をどうすれば、そんな解釈が生まれるのだろう。

(画像提供ありがとうございました)

 

購入者の投稿より引用。

 

 

 

ロナルドの老け具合からして20〜30年は経っていそうだが、ドラルクの髪が伸びていないところを見ると盆ノ木氏の30年後イラストを参考にした訳ではないらしい。

「夫婦のような関係」→「(神志那氏の想像する)熟年夫婦のような関係」なのだろうか。

 

月刊アニメディア2022年3月号においては

「ドラルク、ロナルド、ジョン、半田が花見に行くとしたらどんな役割を担うと思う?」

という質問に対し

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ラルク:ジョンのためにサンドイッチ作り。

ロナルド:ジョンのために場所取りで徹夜。

半田:そんなロナルドにイタズラしようと見張り。結果ガードマン。

ジョン:シンヨコの住人を引き連れ、花見はキャパオーバー。

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と回答している。

ラルクが居る時点で夜桜なのに、徹夜で場所取り?

それなりの戦闘力を持つ成人男性に(イタズラはともかく)ガードマン?

 

前述したアニメージュ2023年3月号のインタビュー内で「お母さん的なポジション」という発言があったが、同インタビューの冒頭でも

「ドラルクがロナルド吸血鬼退治事務所のお母さん的なポジションに、どっしり馴染んでしまっていますね」

と発言している。

「お母さん的な〜」が、たまたま例えで言った訳ではなく、完全にそういう認識である事が伺える。

原作第108話でドラルクが「お母さんか私は!!」と激怒していたので、ドラルクからすると良い気はしないだろう。

 

どうやら、かなり独特な感性をお持ちのようだ。

ファンで視点見るとかなりズレているが。

 

私自身、神志那氏が監督を務めた作品は過去に1作観た事があるが、原作ストーリーの改悪が酷く途中で観るのをやめた。

1期の大成功は主に脚本・構成の功績だったのかもしれない。

 

アニメージュの第45回アニメグランプリで吸死2期が2位という結果が出た際には

アニメージュ様で2位を取れるような作品でしたっけ笑笑。」

とコメントしている。

(月刊アニメージュ2023年8月号より引用)

謙遜にしても原作付きの作品でこの言い方は失礼にも程があるだろう。